ブランド重視からやりがい重視へ 「地方で働く」が当たり前に

<プロフィール>
ヒューマンキャピタリスト
戦略人事・就活コンサルタント
上田 浩史(HIROFUMI UEDA)    

株式会社リーグロ 代表取締役
Visions LOUNGE ファウンダー

兵庫県出身
株式会社リンクアンドモチベーション(東証一部)にて採用コンサルタントとして従事し、2009年に独立。
関わる企業と若者の志と夢に貢献することを理念に、述べ100社のクライアントの採用、組織変革に貢献。
コンサルタントの枠を超え、採用、教育業界での事業創造やベンチャー企業CHRO、スタートアップへのエンジェル支援などを行う。
また、就活予備校、海外インターン、留学スクールの経営・運営を通して述べ10,000人以上の学生、非大卒生のキャリア支援、留学支援、就活支援をサポートし、若者の可能性を広げる活動を情熱を持って取り組んでいる。

 “就活ルール”の廃止が決まり、就活のあり方が大きく変わろうとしている。数多くの学生の就活支援に立ち会い、企業側にも採用につなげるブランディングをサポートしてきた株式会社LeoGLO代表取締役の上田浩史氏に、就活事情の今、そして地方で働くことの価値について話を聞いた。

―現在の仕事は。

 「企業と若者の志に貢献すること」を理念に掲げ、学生を採用したい企業に対し、学生に興味を持ってもらい、この会社で働いてみたいと思ってもらうためのブランディングをサポートしています。また、学生に対しては、希望する企業に就職するためのコーチングスクールを運営しています。「日本一学生のことをわかっている人事のプロ」を自負しています。

―今の仕事に至るきっかけは。

 小学校5年生の時、神戸で阪神・淡路大震災に被災し、生かされた自分が何のために生きていくかを考える大きなきっかけとなりました。神戸高校時代はサッカー部の主将として県大会準優勝を経験し、本気でやれば結果が出ることを実感しました。就職では第一希望のリクルートに内定を得ていたのですが、生きがいを持って働くことが日本の元気を作るとの理念にひかれ、経営コンサルティングのリンクアンドモチベーションに入社。組織変革コンサルタントに従事し、3年勤務した後に独立しました。
 一度起業で失敗し、半年ほどは1日分の日当を求めて働く日々を経験し、自分にしかできないことで生きがいを持って働くことの価値に気づきました。そのころ、大学4年生の時にボランティアでのべ1000人ほどの就職面談支援を行った僕のことを慕って、わざわざ相談に来てくれる学生がたくさんいたことで、彼ら彼女らのために働こう、と学生のためのコーチングスクールを立ち上げる一方、企業の戦略採用・研修コンサルティングにも事業を広げてきました。

―経団連は、2021年度卒業の学生から新卒採用開始時期を定める就活ルールを廃止しました。世の中の採用環境が大きく変わる中で就活に臨む学生の意識はどう変わってきているのでしょうか。

 ひとことで言うと就職の選択肢が非常に増えています。その理由は、一定期間企業で働く職業体験の機会であるインターンシップが身近な存在になったことによります。これまで会社を知る入口は会社説明会が主流でしたが、それよりも会社の事業や雰囲気に直接触れることのできるインターンシップに参加することが多くの学生にとって今や当たり前になりつつあります。国、大学、企業もインターンシップを推し進めています。早い学生だと1年生のうちからインターンシップに参加し、何社も経験することで、自分の適性を見極めています。
 就活ルールが廃止されることになれば、年間を通じていつでも採用する通年採用が当たり前になっていくでしょう。それに伴って企業側もより早いうちに学生を取り込もうと1年生の時から参加できるインターンシップもますます増えていくことになると思います。

―会社選びの傾向はどのように変わってきていますか。

 名の知れた大手企業を就職先に選ぶブランド志向は今も根強いものがありますが、以前に比べると薄れてきています。というのも、ここ数年の間にも大手企業の不祥事が次々に明るみになって、大きい名の知れた会社なら安心して働き続けられるというイメージが崩れているからです。事実、メガバンクでさえ副業・兼業を認める時代になっています。一つの会社で長く働き続けるというよりは、やりがいを持って働くことができる会社を選ぶ傾向が強くなってきていると言えるでしょう。
 会社選びをする上での情報源も変わりつつあります。以前は大手就職支援会社のサイトを利用するのが主流でした。しかし、インターネット環境が整った中で育ってきたデジタルネイティブ世代の若者は、SNSなどを通じて学生や若年層の働き手から直接得られる生の情報を重視するようになっています。直接様々な情報に触れる中で、どんな仕事をするかよりも、だれと働くかというように会社選びの軸が人にシフトしてきているのを感じています。
 志を持った経営者がリーダーシップを発揮しているベンチャー企業や中小企業のなかには積極的にインターンシップなどを通じて早いうちから学生に接するようになって会社の熱量が伝わるようになっており、そうした会社で働く価値に学生も気づき始めています。

―仕事とともに自身の生活の時間も大切にし、休みや労働時間の条件を重視する学生も増えていると聞きます。

 仕事と生活を両立する「ワークライフバランス」という言葉に加え、最近では落合陽一さんが提唱している、好きなことを仕事にし、ストレスを抱えることなく働ける状態を指す「ワークアズライフ」という言葉を若い人は共感を持って受け入れているようです。
 そう考える人たちにとっては、自身の人生の価値観を実現できる場所こそが働きたい場所になっていきます。ネット環境が発達する中でリモートワーク(会社に席を置かない働き方)もこれから当たり前になっていくことでしょう。
 本社のある東京で長い時間をかけて通勤するような働き方よりも、自身が生まれ育った故郷や都心から離れた場所で時間にゆとりをもって快適に働こうとする人たちが増えていくことでしょう。すでにその傾向があらわれていますが、地方で働くということが以前にも増して働く選択肢の中で重きを占めるようになってきています。住宅費や生活費などが相対的に安い地方で働くことは経済合理性で考えても大きな魅力です。

―地方で働くことは当たり前になる、と。

 そもそも東京で働かないとできないことは何なのか考えてみてください。東京でないと得られない価値は何かを突き詰めて考えると、それと同等の価値は地方の優良企業で働くことでも得られる、ということに気づくはずです。
 さらに、自分の趣味や好きなことを実現しやすい、両親をはじめ家族と近くにいたい、子育てをするための良い環境を、というそれぞれが重視する価値を実現するためであれば、地方で働くことの方がよほど恵まれた環境が得られると思います。
 兵庫県は旧五国が一緒になってできた歴史を持ち、都市部を抱えながらも少し足を延ばしただけで豊かな自然を感じることができる場所です。食も海の幸から山の幸まで非常に恵まれています。人気のプロスポーツチームもたくさんあります。また、大阪や京都も近く、どこに出かけるにも便利なエリアでもあります。仕事を中心とした人生から、人生の一部を仕事がなくという考え方に変わりつつある今、住みやすさ、働きやすさ、生活の充実度を併せて拠点を考えたとき、人生を豊かにするコンテンツに恵まれた兵庫県が輝きを増して見えてくるはずです。

☆最後に、就活生へのメッセージをお願いします☆

人生において就職活動は自分の人生の可能性を広げられる素敵な機会です。就職活動を通して、自分を知り、会社を知り、社会、そして世の中を知る大きなきっかけになります。
自分は人生で何をしたいのか?どんなことが好きで、夢中になれるのか?それを見つける旅だと考えましょう。
最初の一歩はなかなか踏み出しにくいかと思いますが、人生の中でこんなチャンスは滅多にありません。多くのインターンシップや企業説明会、訪問を通して、思いを持って働く社会人と出会い、経営者の志や情熱に触れ、世の中をよりよくするサービスや商品を知る事ができます。またインターンシップや説明会、選考を通して大学を越えた新しい仲間との出会いもあります。ぜひ自分の可能性を広げるべく、小さな第一歩を踏み出しましょう!