ニューノーマル時代の就活Web面接が標準に 企業の価値観も多様化 自分で企業の良し悪しを見極めるチャンス

コロナ禍を経て、就活におけるWeb面接が一気に浸透しました。採用面接に特化したWeb面談ツール「VIEWHUB」を開発・運営し、事業者、学生双方の立場からWeb面接のあるべき姿を追求しているFacePeer社の多田英彦社長に、Web面接の現状と展望、学生にとってのWeb面接における注意点などを聞きました。

純国産の信頼で約2千社に導入
―「VIEWHUB」の開発経緯は。

 もともと企業向けビデオ通話プラットフォーム事業「FACEHUB」を手がけていたのですが、今後伸びる分野に絞り込んでより使いやすいサービスとして商品化しようと考え、採用面接に特化した「VIEWHUB」を2019年3月にリリースしました。
 企業側にとっては面談実施までの動線が簡単で、直感的に使えるアイコンを配し、使いやすさを重視しました。純国産のサーバーや独自の通信方法使うことによりセキュリティを高め、改ざん・漏えいを防いでいます。学生側にとってはアプリをダウンロードする必要がなく、すぐに面談画面につながるところがメリットです。すでに銀行をはじめ約2千社に導入していただいています。

学生の素直な話しぶり、表現に好感
―コロナ禍でWeb面接が急速に普及する過程で企業側の対応をどのように見ていましたか。

 採用担当者は当初、Web面接では学生の本気度をどこまで感じ取ることができるか不安を持っていたようです。しかし、数を繰り返す中でその不安は解消されていき、むしろその利便性に気づいて積極的に活用していこうとする姿勢が見て取れます。学生は自宅という環境だからこそ落ち着いて自分の考えていることを素直に表現できていると感じている担当者も多いようです。
 在宅勤務が当たり前になり、地方に本社機能を移す会社や、働く場所は本人の自由でよいという会社が出てきており、Webを活用する流れはさらに加速するでしょう。

時間を有効活用、選択の幅広がる
―学生にとってはどうか。

FacePeer株式会社 代表取締役社長 多田 英彦さん

 これまでの実面接では、会社のエントランスで受付を済ませて控室で待たされてから面談室で面接を受ける流れになっていますが、それだけでも学生は緊張することでしょう。その点、Web面接であれば自宅の落ち着いた環境で受け答えできるので気持ちの面で楽でしょう。他にも、Web面接では愛読書やトロフィーなどの実物を画面を通して映し出すこともできますので、自分を表現する方法も広がっています。
 面接会場に出向く時間や交通費が節約できる点も大きなメリットです。Web面接であれば、受けようと思えば1日に4、5社の面接を受けられるようになりますし、自宅から遠く離れた企業の面接もパソコンやスマホがあればどこでも受けることができます。そういった意味で、選択肢の幅は各段に広がっています。

数年後にはWeb面接が標準に
―就活におけるWeb面接は今後、企業にとって標準になっていくのでしょうか。

 都市部の企業と地方の企業とで対応が分かれています。都市部の大きな企業は、1次、2次面接についてはWebで行い、最終面接は対面で行うというパターンができているようです。一方で地方の中堅、中小企業については新型コロナウイルスの感染が小康状態になったところで対面に戻しているところが多いようです。ただ、3年、5年かけてWeb面接が標準になっていくのではないかと感じています。

事前準備のスタンダードが変わる
―Web面接に臨む学生はどのようなことに気を付ければよいでしょうか。

 事前の準備ががらりと変わります。これまでの会社訪問では会社の住所を調べる、靴を磨くなどして身なりの細部まで気を遣うなど、実際に足を運んで対面で会うからこその準備が必要でした。しかし、これからは、通信状況をいかに安定させるか、さらには画面上での見ばえをいかに良くするかを考えなければなりません。
 例えば、セキュリティや通信環境のことを考えると安価なパソコンやスマホを使わないほうがよいでしょう。処理能力が遅いと、ネットにつながりにくかったり、画面が止まったり、音声が途切れたりというようなことが生じるからです。
 また一定の通信データを超えると制限がかかる契約をしている場合は、面接中にその制限がかかることがないかどうかも確認しておいたほうがよいでしょう。契約している回線の状況で家の中でも電波が入りやすいところ入りにくいところがあるので、入りやすいところを選ぶことも大切です。画面に映り込む背景がごちゃごちゃしていると面接担当者の心象が悪くなるので気を付けてください。
 画面に向かって話をするときは、笑っている時はニコニコと、考えている時は首をかしげるなどしっかり自分らしい表現をすることも大事です。面接担当者も表情をしっかり読み取りたいと思っています。

学生をアシストする機能、充実へ
―今後「VIEWHUB」をどのように進化させていこうとしているのでしょうか。

 これまでは企業側の使いやすさを重視して開発してきたが、今後は学生をアシストする機能を加えていきたいと考えています。例えば、学生が話している声をAIで解析して、自信がなさそうな声だったら、「もっとはきはきと、堂々と」とアドバイスできるような機能を追加したり、就職活動という一大イベントを最大限お手伝いできるような機能を開発していくつもりです。

ライフスタイルに合った企業選びを
―学生にメッセージを。

 コロナ禍によって働き方そのものが大きく変わりつつあります。企業もこの状況を最大限に生かし、新しい働き方を提示しています。学生にとっては自分の考えているライフスタイルに合った企業を選ぶチャンスが増えていると言っていいでしょう。
 Web面接が当たり前になってきたことで、興味を持った企業により多く出会えるようになります。掲示板やSNSに書かれた情報をうのみにするのではなく、ぜひ自分の目と耳で企業の良し悪しを判断し、よりよい会社選びにつなげてください。